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昭和戦前古建築散歩 東京銀行集会所(丸の内)

かつて師匠に、フィルムは生ものだから、保存には細心の注意を、といわれたのに、根がズボラなもので、この十年ぐらいはほったらかしも同然だった。案の定、天罰覿面、ずいぶん傷んだものもあって、スキャンしたあとでため息をついている。

しかし、カビは防げても、褪色はなかなかふせげるものではない。だから、色についてはしかたがないとあきらめがつく。

ついでに、なるほど、古い映画のDVDに、Digital Restorationの長いクレジットがつくわけだよ、と納得もした。映画も褪色をまぬがれないから、ディジタル化して、色を補整する必要があるわけだ。

ということで、わたしもPhotoshopを駆使して、ゴミ取り、キズ消し、色補正、いろいろやっていることをお断りしておく。フィルムの見たままではない。

さて、本日は、かつて丸の内にあった東京銀行集会所(その後、東京銀行協会と名前を変えた)である。いま調べたら、オフィシャル・サイトがあった。要するに、業界団体である。だが、わたしはそのへんのことにはそれほど関心がない。関心は色とフォルムにしかないのだ。

ginkou club 5
緑青をふいた緑色の銅板屋根、小豆色の煉瓦タイル、白い石、この組み合わせがそんじょそこらにない、軽快な印象を与える外観を生んでいる。

はじめて見たときの印象は、ものすごく華奢だということで、こんなおとぎの国の建物みたいなところに、日本の「ヘヴィー・シャイロック」(ソングライターのジェリー・リーバーの表現)たちが集まって談笑しているのかと思うと、苦笑いするしかなかった。

昔の銀行というのは、とにかく重くて頑丈で威圧的で力強い印象をあたえるようにつくったものだ。顧客に安心感を与えるのが建築の最大の使命だったからだ。

ginkou syuukaijo 3
アールヌーヴォーの建築に見られるガラスのマーキーは、ここではアールデコ風に簡略化されている。しかし、それも優美な印象をそこなってはいない。魅力的なマーキーである。

その銀行家たちの集まる場所が、日本にいくつもないだろうという繊細な印象の建物だというのだから、アッハッハである。うちに帰ったら、どてらを着てこたつに当たるのがもっともくつろげる、というのとはチト異なるだろうが、とりあえず、金庫を守る必要のない空間でリラックスしたいというあたりだろう。設計者は練れた人物だったのだ。

ということで、『日本近代建築総覧』記載のデータを読んでみよう。大正5年竣工、設計は、施工にあたった横河工務所所属の松井貴太郎、あの三信ビルの設計者である。しかし、関東大震災以前の竣工とは愕いた。見た目ほど華奢な造りではなかったのだろう。

あ、そうだ、タイトルの「昭和古建築散歩」はまちがいではないか。でも、まあ、いいか。この建物が生きた時代は主として昭和だったのだから。

ginkou syuukaijo 4

建物の運命はさまざまである。この建物は半分以上消えた。ただし、外壁2面のみは保存され、高層ビルの外観の一部として利用されている。「東京銀行協会」というキーワードで、グーグルで画像検索をすれば、現状の写真をたくさん見ることができる。

ついでにいうと、この高層オフィス・ビルに間借りしたい人はここへ行くといい。

わたし? わたしなら、たとえ金があっても、こんなところにオフィスなどもちたくない。だって、あそこを歩いてご覧なさい。昔の建物をスライスした気色の悪いものが、いまにもペロッとはがれてきそうで、虫酸が走る。あれは保存ではなく、虐待だろう。
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昭和古建築散歩 いや、そのまえにスキャナーの問題

前回は、この話をもう一回つづけるなどと書いたが、答えのない問題、その場その場の状況に応じて妥協し、折り合いをつけていくしかない世の中の問題を、あれこれあげつらい、二つの立場のちがいなど述べてもしかたがないと思えてきたので、とりあえず棚上げにする。

すでに書いたように、フィルム・スキャナーが使えるようになったので、しばらくは古写真を並べようかと思っている。

そのまえに、同じような問題を抱えている人がいらっしゃるかもしれないので、フィルム・スキャナーのトラブルを書いておく。

環境はWin2000、スキャナーはNikon Coolscan III LS-30、接続はアダプテックのSCSIカード(すごく古いので型番を忘れたが、2940なんとかだと思う。ポストフィクスは日本語ヴァージョンということで、Jだったかもしれない。フルネームはAHA2940-J?)で、あいだにエプソンのフラットベッド・スキャナーをはさんでいる。もちろん、LS-30側のターミネーターはオン、エプソン側はオフ、SCSI-IDの衝突はない。

umeda building ornament
前回、テストとしてスキャンしたといってアップした八重洲・梅田ビルの入口脇のテラコッタの飾り。みごとにアールデコである。しかし、上に見える鉄の飾りはアールヌーヴォー。このへんの折衷のしかたが、ヨーロッパの建築では味わえない、日本近代建築独特の面白みである。

症状は、Windowsはスキャナーを認識し、正常に機能していると報告してくるが、ニコンのNikon Scan 2.5というソフトウェアは、機能しているスキャナーが存在しない、といってくるというものだった。

以前にはこういう問題は起きなかったのだが、たぶん、そのときは、なにか別の用途で入れたASPIレイヤーがあったのだろう。その後、Windowsをインストールし直した際に、ASPIが消えてしまった可能性がある。アダプテックがASPIチェッカーを配布しているので、それで調べたところ、やはりASPIレイヤーは存在しなかった。

検索すると、Force ASPIというフリーウェアがあることがわかり、これをインストールしたところ、あっさり解決した。やはり、以前入れていたASPIレイヤーが消えたために、認識できなかったらしい。

こういう問題は最近のWindowsでは起こらず、あくまでも古いマシンにLS-30を接続した場合に起こるだけらしい。そろそろ新しいOSに対応できなくなるのではないかと不安なのだが、LS-30はVistaまではつながるという説もある。

ginza asahi sekimen
銀座の、たぶん7丁目あたりの裏手にあった、石綿会社のビル。アスベストの問題が持ち上がって以来、こういう会社は苦労していることだろう。このビルもすでにないと思う。近くに行ったときにあのあたりを歩きまわったが、見あたらなかった。テラコッタのネジリン棒のような飾りが魅力的。メモには、昭和7年以前の竣工、設計は森山松之助とある。

かつて古建築を撮って歩いたときにデジカメがあったらなあ、と思わなくはないが、スキャンしてみると、やはりフィルムで捉えたものはちがうと痛感した。じつに下手くそな写真ばかりだが、それでも、なかには手触りの感じられるものがあって、ため息が出る。

あのときは、リヴァーサル・フィルムなんかで撮影して、あとでどうするのかと思ったが、いまこうしてスキャンしてみると、やはりリヴァーサルでよかったと思う。

フィルムはほとんどすべてコダックのデイライト・フィルム、ASA50だった。36枚撮り1本960円、現像代もほぼ同額だったと記憶している。

毎週末、歩きまわり、撮りまわり、疲れた足を引きずって京橋まで行き、仕事でしばしば通っていた堀内カラー(もちろん、わたしはカメラマンではない。たんにフィルムを受け取る必要のある仕事をしていただけだ)にあずけて、1、2時間後に受け取りにいった。そのとき、次週の分のフィルムを数本買った。エマルジョン・ナンバーの関係で、原則として、フィルムを買ったラボで現像もすること、と師匠にいわれていた。いやはや、金のかかる趣味だった!

ginza asahi sekimen ornament
この写真ではわかりにくいが、ネジリン棒の下にはヒツジの頭が並んでいる。なぜヒツジなのか、そのへんの図像学はわからないのだが……。

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続・陽傾く国を歩けば……



なぜ、役所の節約がよくないのか。もちろん、よくいわれる公共事業の論理である。借金財政のことを思うと、そういう論理に賛成するのはためらう。だが、相手は現場で数十年の経験を積み、この問題を考え抜いてきたプロだ。こんな当たり前のところでは話は終わらない。

そもそも、ちょっとヒントをもらっただけで、わたしは友人の会社のことを思いだしてしまい、財務体質健全化などという論理の問題とはレベルのちがう、生な生活の問題としての側面が頭のなかで見えてしまった。

これはきれいな解が得られる数学的問題ではなく、あっちで血を流し、こっちで骨を断つ、つらい問題なのだ。

ginza kouransya
今日はなにも写真がないので、話の中身とは関係のないものを飾りとしておく。前回、トラブルでまだ使えないと書いたニコンのフィルム・スキャナーが動いたので、テストとして1枚スキャンした。やはり時間がたって、褪色がはじまっている。ともあれ、昔撮った写真をディジタル化できたのはうれしい。これは岡田信一郎の小品、八重洲・梅田ビル。バランスの悪いところがかえって魅力的なビルだった。昭和2ないし3年の竣工と日本近代建築総覧に記載されている。

わたしの中学高校の友人が、いま家業を継いで廃棄物処理業をやっている。たまたま、同窓会のことで電話で話したとき、お互いの仕事の状況に話がおよんだ。わたしのほうはシンプルなトラブルだが、彼のほうは出口のない問題を抱えていた。そのトラブルの名前は一般競争入札。

一般競争入札というのは、いってみれば、水戸黄門の印籠のようなもので、ぴかぴかと「善」の光で輝いているイメージではないだろうか? 談合は悪、一般競争入札は善、そういう子どもっぽい論理だ。

だが、わたしの身近な二人の人間は、そういう世間の幼稚な論理に苦笑するだけだ。なぜか。

廃棄物処理業の友人の苦境はじつにわかりやすい。今年と同じ仕事を来年も続けるためには、なにがなんでもつぎの入札で一番札を入れなければならない。

もし二番札だったらどうなるか。給料は払えないので、従業員は即座に解雇、収集車のような設備、配車基地といったものはすべて手放さなければならない。そして、つまるところ、会社はあっというまに倒産する。

kouransya detail - terracotta
窓の飾りなどはもちろんテラコッタ製である。わたしはテラコッタ・マニアなので、もはやこういう飾りをだれも焼かなくなったのはじつにさびしい。残ったものが取り壊されれば、それで終わりだ。この梅田ビルは撮影直後に取り壊された。バブルの時代だったのである。

倒産させないためにどうするか。社員数は極端に切りつめ、最低限しか雇わない、必要な人員の大部分は派遣に頼り、しかも、ぎりぎりまで人件費を切りつめる。このようにして、一番札を入れるための前提を整えるのである。それができなければ、たちまち倒産なのだから、ほかに選択肢はない。

彼は、親父には申し訳ないが、俺の代でこの生業はおしまいだ、子どもにはこんな苦労はさせたくない、という。

人は満足に雇えない、雇ってもろくに給料も払えない、それでも、安定しているのなら我慢もしよう。いまでは毎年、入札で恐怖を味わう。だれが好きこのんでこんな馬鹿なことをするものか、やめられるものなら、いますぐやめたい――それが彼の本音だ。
もうひとりの身近な人間の論理は、次の機会に。

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陽傾く国を歩けば……

ずいぶん昔のことだが、ニコンのフィルム・スキャナーを買った。バブルのころに大量に撮った、リヴァーサル・フィルムをスキャンしようと思ったのだった。しかし、これはなかなか時間のかかる作業で、数十枚スキャンしたところで中断し、その後、何度かWindowsをインストールし直しているうちに、スキャナーのドライヴァーのインストールをサボるようになってしまった。

Nikon Coolscan III

Windowsが新しくなると、対応ドライヴァーがリリースされなくなるおそれもあって、このブログをはじめて以来、いつか、昔の写真をスキャンしようと思いつづけて、ようやく、昨日、ドライヴァーを入れてみた。

ありゃ? Windowsはスキャナーを認識したけれど、ニコンのソフトはスキャナーが存在しないと主張している! うーん……とりあえず頓挫。まだいろいろなことを試している最中で、スキャンには至らず。

じゃあ、しかたないというので、最近撮った写真をパラパラやってみた。

いつだって、ろくな写真ではないが、今日はまた一段と地味な一枚。

goudouchousya

散歩コースの途中にある、県の合同庁舎のネームプレートだ。レンズを向けたのは、字の傾きに愛嬌があるからだが、シャッターを切ってから、ちょっと考え込んでしまった。

最初に思ったのは単純なこと。昔だったら、この傾いた「舎」をいつまでもほうっておかなかっただろう、すぐに業者が呼ばれて修繕されたにちがいない、といったことである。

役所も世間からさんざんいわれて、ようやく節約ということを考えるようになったのかもな、いいことだ、と思い、また歩きつづけた。

すると、ごく身近な人間の顔が浮かび、「いいや、俺はいいことだとは思わないな」といった。そうだ、最近、そんな話をしたことがあった。

なぜ、役所の節約がいいことではないのか。これはちょっと面倒なので、次回に引っ張ることにする。いやはや、ボケッと散歩していても、妙に深刻なことを考えてしまうもので、われながら呆れる。

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福を願って

このところ、写真を撮れる時間に散歩をしていないので、古いものを材料になにか書こうと思い、以前撮った写真をつぎつぎと見ていたら、ひどく寂しくなり、落ち込んでしまった。

写真には、視覚的なものだけでなく、それを撮ったときの自分の心理状態も記録されている。明るく楽しい気持で撮った写真から、孤独と寂寥と鬱屈を抱えて撮った写真へ、という遷移を見ていたら、耐えられなくなってしまった。

福助看板

なにかいいことがあるように願って、いや、すくなくとも、いくぶんか気分が明るくなることを願って、福助の写真をここに貼り付けることにした。

この写真を撮ったときは、ただ心惹かれるデザインの記録をとっておこうと思っただけで、心理状態はニュートラルだった。

福助ホテル
これだけでわからないが、商売は宿屋らしい。

でも、いまこうして貼り付けてみると、夕陽のせいか、なんだか寂しそうな福助に見えてしまう。写真に自分の心理状態が記録されているというのは、勘違いなのかもしれない。いまの心理状態が反映されるだけだということか……。

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