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続・陽傾く国を歩けば……



なぜ、役所の節約がよくないのか。もちろん、よくいわれる公共事業の論理である。借金財政のことを思うと、そういう論理に賛成するのはためらう。だが、相手は現場で数十年の経験を積み、この問題を考え抜いてきたプロだ。こんな当たり前のところでは話は終わらない。

そもそも、ちょっとヒントをもらっただけで、わたしは友人の会社のことを思いだしてしまい、財務体質健全化などという論理の問題とはレベルのちがう、生な生活の問題としての側面が頭のなかで見えてしまった。

これはきれいな解が得られる数学的問題ではなく、あっちで血を流し、こっちで骨を断つ、つらい問題なのだ。

ginza kouransya
今日はなにも写真がないので、話の中身とは関係のないものを飾りとしておく。前回、トラブルでまだ使えないと書いたニコンのフィルム・スキャナーが動いたので、テストとして1枚スキャンした。やはり時間がたって、褪色がはじまっている。ともあれ、昔撮った写真をディジタル化できたのはうれしい。これは岡田信一郎の小品、八重洲・梅田ビル。バランスの悪いところがかえって魅力的なビルだった。昭和2ないし3年の竣工と日本近代建築総覧に記載されている。

わたしの中学高校の友人が、いま家業を継いで廃棄物処理業をやっている。たまたま、同窓会のことで電話で話したとき、お互いの仕事の状況に話がおよんだ。わたしのほうはシンプルなトラブルだが、彼のほうは出口のない問題を抱えていた。そのトラブルの名前は一般競争入札。

一般競争入札というのは、いってみれば、水戸黄門の印籠のようなもので、ぴかぴかと「善」の光で輝いているイメージではないだろうか? 談合は悪、一般競争入札は善、そういう子どもっぽい論理だ。

だが、わたしの身近な二人の人間は、そういう世間の幼稚な論理に苦笑するだけだ。なぜか。

廃棄物処理業の友人の苦境はじつにわかりやすい。今年と同じ仕事を来年も続けるためには、なにがなんでもつぎの入札で一番札を入れなければならない。

もし二番札だったらどうなるか。給料は払えないので、従業員は即座に解雇、収集車のような設備、配車基地といったものはすべて手放さなければならない。そして、つまるところ、会社はあっというまに倒産する。

kouransya detail - terracotta
窓の飾りなどはもちろんテラコッタ製である。わたしはテラコッタ・マニアなので、もはやこういう飾りをだれも焼かなくなったのはじつにさびしい。残ったものが取り壊されれば、それで終わりだ。この梅田ビルは撮影直後に取り壊された。バブルの時代だったのである。

倒産させないためにどうするか。社員数は極端に切りつめ、最低限しか雇わない、必要な人員の大部分は派遣に頼り、しかも、ぎりぎりまで人件費を切りつめる。このようにして、一番札を入れるための前提を整えるのである。それができなければ、たちまち倒産なのだから、ほかに選択肢はない。

彼は、親父には申し訳ないが、俺の代でこの生業はおしまいだ、子どもにはこんな苦労はさせたくない、という。

人は満足に雇えない、雇ってもろくに給料も払えない、それでも、安定しているのなら我慢もしよう。いまでは毎年、入札で恐怖を味わう。だれが好きこのんでこんな馬鹿なことをするものか、やめられるものなら、いますぐやめたい――それが彼の本音だ。
もうひとりの身近な人間の論理は、次の機会に。
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