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人も歩けば旅猫に出会う

前回書いた、神武寺から鎌倉へと山藤を求めて歩いた日のことだ。逗子の浪子不動の脇から、披露山公園へとのぼっているとき、うしろから来た人に道を尋ねられた。

藤の写真を撮ろうとしていたわたしは注意散漫で、その人の肩に乗っていたものを、大きなバックパックの先端部分がはみだしているのだと思いこんだ。しかし、パートナーにいわれて、それがバックパックではないことに気づき、仰天した。(写真はいずれもクリックで拡大可能。)

neko no chibi1

わたしは猫が好きで、歩いていても、猫を見れば声をかけずにいられない人間だが、生涯に、猫にこれほど驚かされたことはなかった。

いや、このときだけ、一瞬のあいだ、お父さんの肩に乗って遊んでいたわけではない。写真を撮らせていただいているあいだも、お父さんの肩から降りず、撮り終わって、藤の写真を撮るわれわれを残して去っていくときも、まだ肩に乗っていた。いつもこうしていっしょに旅しているのだという。

途中の山藤を写真に収めながら、やっと山の上に出ると、肩乗り猫は、「浪子不動ハイキングコース」の案内板にのって、記念撮影をしているところだった。わたしも便乗して写真を撮らせてもらった。

neko no chibi2

山頂の披露山公園で一服していたら、あとからお父さんと旅猫もやってきて、あちらこちらで驚かれることになった。

neko no chibi3

じつにおとなしい猫で、子供にさわられても嫌がることはなく、されるままになっていた。

neko no chibi5

われわれがいちいち歓声を上げ、拍手するので、お父さんはわれわれの前に坐り、いろいろ話しながら、芸を披露してくれた。

名前はチビという。わたしはこういうずぼらな命名を好む。多くの外猫をわたしも「チビ」「クロ」「シロ」と呼んできた。

年齢はまもなく十五歳。尿管結石の病後なので、薬を欠かせないのだとか。いや、そういうことは、ブログをご覧になっていただいたほうがいいかもしれない。

「チビの日記!!」

われわれが遭遇した逗子の旅の記録もすでにアップされている。

多少とも猫と暮らした経験のある人間にとっては、とにかく、歩く人間の肩におとなしく乗っていることが不思議でならない。この目で見なければ信じられなかっただろう。

ここまでどうやってきたのか、そこが気になっていたのだが、なんと、この猫は電車に乗るのが大好きなのだという。乱歩の『押絵と旅する人』じゃないが、お父さんはチビをかばんに入れて、どこへでも旅するのだという。そういわれても、不思議としかいいようがない。

neko no chibi6

neko no chibi4

ふつうの猫ではなく、超猫なので、チビはお父さんのいうことがわかる。かばんに入りなさいといわれれば入るし、かばんから出なさいといわれれば、さっと出てくる。

さらに驚いたのは、「待て!」といわれると、食べずに我慢するし、なめるだけ、といわれれば、ちゃんとなめるだけで、食いつきはしない。

chibi no osuwari1

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chibi no osuwari3

よし、といわれば、手で押さえて食べる!

chibi no osuwari4

そして、最後に、味がよければ、次回のオーダーに備えて、食べたものの製品名を確認する──かどうかは知らないが!

chibi no osuwari5


街中のウォーキングも、里山のトレッキングも、意外なものや不思議な人に出会うささやかな旅路だが、これほど意外な出会いははじめてのことだった。チビはすでにご老体、薬を欠かせない体だそうだが、またどこかでばったり遭遇し、再会を喜びたいものだ。
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テーマ : 散歩 - ジャンル : その他

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